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09

彼と息子

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「ママの病院で一緒に
働いている石田先生だよ」

「こんにちは」
「さぁて、頑張って登るかー」

「りょう君、ここからのぞいてごらん」
「なになに?」

「先生、あれなぁに」

「わぁ、すごい」
「先生、これは?」
「りょう君、ここは危ないから
ゆっくりだぞ」

「ママ〜早く 早く
鹿の骨見つけたよ」

すっかり打ち解けた彼と息子

さすがに幼い息子の足で
いきなり頂上までは厳しいから
今回は途中の展望台まで

3人でお弁当を食べる
「おいしいね」

帰りは「 足が痛いよー」と
甘える息子に
「仕方ないなぁ、ほら」
おぶる恰好をして見せた彼
「わーい、おんぶだ、おんぶだ」
とはしゃぐ息子は
彼の背中に飛び乗った

そして息子を背負って山を降りる
3人で歌を歌いながら…

「あら?こうすけ君じゃない
こんなかわいい息子さんがいたの?」
「いえいえ 違うんです
知り合いのお子さんなんです」
すれ違う山仲間に
声をかけられ照れ笑い

知らない人には
「あら、ぼく、いいわね
パパにおんぶしてもらって」
「お父さん、大変ね( ^ω^ )」
なんて声が聞こえてきた

私も彼もまんざらではなかった
幸せな家族ごっこ
がそこにあった

ただ彼が私を
「山口さん」と呼び
敬語で話しかける度に
寂しさで
胸がキュンと締め付けられた

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